
医療法人 久康会 平田病院
○柳田和宏 桐原美穂 小野健史 田村宗嗣 高橋喜美子
安田晴美 黒木綾 松田由里 竹内佳美 平田耕太郎
【
はじめに
】

今回の診療報酬・介護保険の改定により寝たきり高齢者の低栄養状態の改善が注目されるようになってきた。
当法人でも 2002 年から褥瘡対策の取り組みの中で、当院独自で開発した褥瘡発生リスク評価表(褥マネ 評価)を使用し、寝たきり高齢者の低栄養状態の改善を行ってきた。
しかしこれらの活動は病院を中心としたものでしかなかった。当法人での在宅サービス・老人保健施設ま では十分に浸透しておらず、低栄養状態で褥瘡を形成し、入院してくるケースがみられた。
このことから、病院・老人保健施設・在宅における連携の必要性を感じ、法人内における褥瘡 MCC パスを作成した。
【 対象 】
褥瘡 MCC パスの対象は、平成 18 年 1 月〜6月に BI を行った B ・ C ランクの患者、計 126 名とした。
方法として、まず今回作成した褥瘡連携パス:以後「褥れん」の流れにそって、褥瘡発生のリスク評価を行った。入院当日より評価し退院 3 ヵ 月の老人保健施設・在宅での褥瘡リスク評価表の改善度をみた。
【
褥瘡 MCC パスとは?
】

同法人で用いている褥瘡 MCC パスについて説明する。 MCC の「 M 」は褥マネ「 C 」は褥ケア、もうひとつの「 C 」は褥れん「パス」は褥瘡治療クリティカルパスを指す。

褥れんの入院時の流れについて説明する。
入院初日にBIでどれぐらい日常生活が自立できているか評価する。そしてJ〜Aレベル(歩行が可能なレベル)に関しては基本的には褥マ ネの評価はしない。B、Cレベル(車椅子レベルから寝たきり)の患者には褥マネにて評価を行う。この評価した項目をPC内の褥瘡管理表に 入力すると対処項目が出力されるのでその項目に応じた褥瘡予防のケア及び栄養管理を行なっている。

上の表が「褥れん」褥瘡連携パスである。
このパスを用いて病院をはじめとして、老人保健施設や在宅が褥瘡対策チームを中心として連携を図っている。
このパスの運営は主に下に示した各評価表を基に行っている。
左下の表が「褥マネ」褥瘡リスク評価表である。評価項目は@寝返り A臥床時間 B総蛋白、アルブミン値、コレステロール C Hb 値 D標準体重比 E排泄状態 F 褥瘡の既往 G糖尿病の有無 とした。@Aは活動性、摩擦やずれBCDは栄養状態Eは湿潤Fは現在の状態Gは循環状態をみる指標にしている。これを入院初日 に行い、以後毎月実施している。この褥瘡リスク評価表に関しては第 5 回日本褥瘡学会で発表している。
中の表が「褥ケア表」である。これは、褥瘡形成した患者に使用し、患者の血液検査結果や処置内容、 DESIGN の評価、創部のデジタル写真を明記している。また褥瘡 の写真を載せることで、連携するスタッフにも情報を正確に伝える事が出来るようになった。 2 週間毎に実施し、月一回褥瘡対策委員会、医局会に症例報告を行っている。
右の表が「褥パス」である。これはケースに合わせた外用薬を選択し、その治療方針統一の目的で作成した。
それぞれの創部状態を写真に載せることで、正確に伝えることが出来るようになり統一性が図れるようになった。
このパスを使用し、当院入院時から退院後 3 ヶ月の褥瘡発生リスク評価表の点数差を比較してみた。
【
褥マネ点数推移表
】

これが褥れん導入前後の褥マネ点数差の推移である。
入院時と退院 3 ヵ月後の褥マネ点数の改善度を比較してみた。
褥れん導入前の改善度は 2.5 点に比べ導入後の改善度は 6.86 点で褥れん使用前後では褥マネの点数改善に有意に差が見られた。
【 考察 】
MCC パス導入前にも栄養士による栄養管理・低栄養患者に対する蛋白の付加・看護師による検査測定や創傷処置・状態に応じたマット選択などは行っていたが、職種間の連携が十分に取れていなく、ケア統一性が図れていなかった。パス導入後は、他職種協働の褥れ んを使用することによって、情報が共有でき、ケアに統一性がみられるようなり、褥瘡リスク評価表の改善度・つまり低栄養状態による褥瘡発生の防止につながっていった。各部に所属している褥瘡対策委員に行ったアンケート結果からもスタッフの関心や意識を高め ることが出来たとの回答が 90 %となった。 MCC パスを作成導入することで、当法人内全体でのリスク管理から褥瘡治癒までの情報・手段の共有化が図られ、多職種との連携がより密なものになった。 【 まとめ 】
MCC パスは、褥瘡対策において、病院・施設・在宅の新しいつながりを作るものとなり、当法人内での統一も図られ、褥瘡予防に関する意識を高める事ができた。また、 MCC パスは褥瘡対策委員会での引き継ぎ、新人教育など広く活用できる利便性もあり、育成面での有用性も高い結果を得る事ができた。
今後の課題として、各部署に配属している褥瘡対策委員には MCC パスの運用を浸透させることが出来たが、導入して間もないため全スタッフまでには運用方法の徹底が行われていない。今後院内研修会などを通し、栄養管理の必要性褥瘡管理のリスクマネジメントを改めて説明し、更なる褥瘡対策強化につとめていきたい。
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